「サイバートラック、そのうち日本でも買えるようになるんでしょ?」——そう思って待っている人には、少し厳しいニュースです。テスラはオーストラリアとニュージーランドでのサイバートラック販売計画を打ち切り、予約していた人へ「ご注文は取り消しとなります」という内容のメールを送りました。予約金は返金されます。

この2カ国は、日本と同じ右ハンドル市場です。つまり「右ハンドル版サイバートラックが、ついに市場に出る日」をいちばん近くで待っていた地域が消えた、ということになります。日本での正規販売を期待していた人にとって、無関係な話ではありません。

サイバートラックが豪州・NZで打ち切りになった経緯

サイバートラックは2019年のお披露目時点から、オーストラリアとニュージーランドでも予約を受け付けていました。預かり金はそれぞれ150豪ドル/150NZドル程度と、気軽に押せる金額。当初の生産開始目標は2021年後半とされていましたが、そこから数年がずれ込み、結局その地域向けの生産は行われないまま終わった形です。

現在、両国のテスラ公式サイトからサイバートラックのページは消え、ラインナップはモデル3、モデルY、それにロードスターの予約のみという状態になっています。

予約者へのフォローは「FSD 1年分」

テスラは予約金の返金に加え、キャンセルされた予約者が代わりにモデル3かモデルYを新車購入した場合、FSD(監視付き完全自動運転)の1年分のサブスクリプションを提供するとしています。

名称がまぎらわしいので念のため補足すると、FSDはクルマが勝手に目的地まで走ってくれる機能ではありません。あくまで運転支援で、ドライバーは常に前方を見てハンドルに手を添え、いつでも操作を引き取れる状態でいる必要があります。日本国内で使える機能の範囲は法規との兼ね合いもあり、海外の案内そのままではない点にも注意が必要です。

そもそもサイバートラックは日本で売られていない

日本ではサイバートラックの正規販売も予約受付も行われていません。並行輸入の個体がごく少数持ち込まれているという話はありますが、一般に買えるクルマではないのが現状です。理由は複数あります。

  • 右ハンドル仕様が存在しない:現行車は左ハンドルのみ。右ハンドル化は内装・制御系の大がかりな作り直しが必要で、採算が取れる台数が見込めない市場には投入しづらい。
  • サイズが日本の道路に合わない:全長約5.7m、全幅約2.2m。機械式駐車場はほぼ全滅で、月極や商業施設の平置き区画でもはみ出すサイズ感です。
  • 保安基準のハードル:ステンレスの鋭い面構成やミラー、灯火類など、日本の保安基準に合わせるための改修が小さくない。
  • 品質まわりの報道:米国では複数回のリコールが報じられ、部材の脱落などが話題になりました。この評判も新規市場展開の足を引っ張っています。

「豪州がダメなら日本もほぼ無理」と見るべき理由

オーストラリアはピックアップトラックが生活に根づき、広い道路と駐車スペースがあり、右ハンドルで、かつテスラのシェアも高い——サイバートラック的なクルマにとって日本よりはるかに相性のいい市場です。そこで「作らない」と判断された以上、日本向けに右ハンドル版を起こす経済合理性はさらに乏しい、と考えるのが自然でしょう。

もちろん将来、次世代のより小型なピックアップや、設計変更版が出てくる可能性はゼロではありません。ただ「現行のサイバートラックを日本のディーラーで買う」というシナリオは、当面は期待しないほうが精神衛生上よさそうです。

ピックアップに惹かれていた人が、日本で現実的に選べるもの

サイバートラックに魅力を感じていた人の動機は、だいたい次のどれかに分かれます。

  • とにかく目立つ、唯一無二のデザインが欲しかった
  • 荷台を積載や趣味(キャンプ、車中泊、DIY)に使いたかった
  • 車載電源で家電を動かす「走る蓄電池」が欲しかった

2つ目と3つ目なら、いま国内で手に入るクルマと装備の組み合わせで、かなりの部分は代替できます。ピックアップが欲しければ国内正規販売のモデルがありますし、「クルマから電気を取り出す」目的なら、V2Hや車載コンセント対応の電動車、あるいはポータブル電源という選択肢のほうが現実的で、設置や運用のハードルも低くて済みます。

EVを待つなら、充電環境の整備が先

EV購入を検討しているなら、車種選びより先に「自宅でどう充電するか」を決めたほうが後悔しません。戸建てなら200V普通充電用のコンセント設置、集合住宅なら管理組合との調整が最初の壁になります。外出先の急速充電は便利ですが、それだけに頼る運用はバッテリーにも財布にも優しくありません。

また、EVに乗り換えなくても、災害時の備えとして「電気をためておく」発想は役立ちます。クルマの納車を待つあいだに、手元の電源まわりを整えておくのは十分意味のある投資です。

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「走る蓄電池」に惹かれていた人の目的を、クルマを買い替えずに満たせます。車中泊やキャンプ、停電時の家電バックアップまで一台でカバーできます。

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予約金を払って待つ、という行為のリスク

今回の件で改めて見えたのは、「予約=発売の約束ではない」という当たり前の事実です。数千円〜数万円の預かり金で何年も待ち、最終的に返金とクーポン相当の提案で終わる、というケースは新興ガジェットやクラウドファンディングでも珍しくありません。

  • 返金条件(全額か、手数料が引かれるか)を申し込み前に確認する
  • 「○年に発売予定」という表記は、確定スケジュールではないと割り切る
  • 待っているあいだの機会損失(他の選択肢を逃すこと)も織り込む

特にクルマの場合、待機期間が数年単位になると、その間の生活環境や家族構成、駐車場事情まで変わります。「出たら買う」ではなく「今の自分の使い方に合うか」を基準に判断したほうが、結果的に満足度は高くなります。

よくある質問

サイバートラックは今後、日本で正規販売される可能性はありますか?

現時点で日本向けの販売計画は公表されていません。右ハンドル仕様が用意されておらず、車体サイズも日本の道路事情と合いにくいため、現行モデルの正規導入は見込みが薄いと考えられます。将来の派生モデル次第、というのが現実的な見方です。

並行輸入すれば日本で乗れますか?

理論上は可能ですが、保安基準に適合させる改修、登録手続き、部品供給や修理対応、保険、そして駐車場の確保まで、個人で抱える負担は相当大きくなります。日常の足として使うには相応の覚悟と費用が必要です。

FSD(監視付き完全自動運転)は自動で走ってくれるのですか?

いいえ。名称に反して運転の主体はドライバーです。常時前方を監視し、すぐに操作を引き継げる状態を保つ必要があります。利用できる機能の範囲は国や地域の法規によっても異なります。

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参考: Tesla cancels Cybertruck launch in Australia and New Zealand(Mashable)の内容をもとに、日本の読者向けに独自に構成しています。

Photo by Florian Avramescu on Pexels