実家の電話機、まだ壁のモジュラージャックにつながっていませんか。通話はほとんどスマホで済ませているのに、なんとなく解約せず残している——そんな家庭は日本にもかなり多いはずです。
米国では大手キャリアのベライゾンが、昔ながらの銅線(メタル回線)を使った固定電話サービスを段階的にやめる方向で規制当局に申請したと伝えられています。地域によっては数週間〜数か月単位で切り替えが進むという報道もあり、光回線や無線サービスへの置き換えが前提です。
これは対岸の火事ではありません。日本でも固定電話の土台はすでに大きく入れ替わっていて、次の節目が着々と近づいています。
固定電話はいつまで使える?日本のメタル回線の現在地
結論から言えば、加入電話(いわゆる黒電話の系譜にある固定電話)は今すぐ使えなくなるわけではありません。ただし「昔のままの仕組み」で動いているわけでもありません。
IP網への移行はすでに完了している
NTT東日本・西日本の固定電話は、交換機を使った従来の電話網から、インターネットと同じIP技術を使うネットワークへの切り替えが2024年1月までに完了しています。利用者側の工事や手続きは基本的に不要だったため、気づかないまま移行していた人がほとんどでしょう。
この移行で、県外への通話料が距離に関係なく一律になるなどの変更がありました。一方で、電話番号や電話機はそのまま使えています。
次の節目は「メタル回線そのもの」の縮小
問題はその先です。電話局から各家庭まで引かれている銅線(メタルケーブル)は、設備の老朽化と保守コストの増加が避けられません。NTTは2035年頃をめどにメタル回線の提供を段階的に見直す方針を示しており、光回線や無線サービスへの置き換えが進みます。
ベライゾンのニュースは、同じ流れが先に米国で表面化したもの、と捉えるのが自然です。事業者としては、利用者が減り続ける旧設備を維持し続ける合理性がどこかで消えます。
IP化・光化で何が変わるのか
切り替えで「困ること」と「困らないこと」を分けて把握しておくと、慌てずに済みます。
- 電話番号:原則そのまま引き継げるケースが多い(ただし引っ越しを伴うと条件が変わる)
- 110・119などの緊急通報:引き続き利用できる仕組みが用意される
- 通話品質:光電話は一般に安定しているが、宅内のルーター次第で影響を受ける
- ダイヤル回線前提の機器:古いFAX、ホームセキュリティ端末、業務用の通報装置などは動作確認が必要
- ISDN・ADSL系サービス:すでに終了・縮小済みのものが多い
最大の落とし穴は「停電に弱くなる」こと
従来のアナログ固定電話は、電話線から電力が供給されるため、停電時でも受話器を上げれば通話できました。しかし光電話やIP電話は、宅内のONU(回線終端装置)やホームゲートウェイ、ルーターが動いていないと通話できません。停電=固定電話も不通になるのが基本です。
地震や台風で停電が数時間〜数日続く可能性を考えると、ここは自宅の防災計画に直結します。スマホの充電手段と、通信機器を最低限動かす電源をどう確保するかを、家族で一度決めておくと安心です。
特に高齢の家族が実家で暮らしている場合、「電話がつながらない=安否確認ができない」という事態になりかねません。機器の消費電力はそれほど大きくないので、小容量の電源でも数時間はしのげます。
光化しても電話機は買い替えが必要?
多くの家庭用電話機はそのまま使えます。ただし、20年以上前の機種や、パルス(ダイヤル)回線に設定されたままの機種は動作が不安定になることがあります。迷惑電話対策や録音機能が強化された最近のモデルに替えると、特殊詐欺対策としても意味があります。
この記事に関連するおすすめアイテム
ポータブル電源(小容量・防災向け)
光電話はONUやルーターが止まると通話できません。停電時に通信機器へ給電できれば、家族との連絡手段を確保しやすくなります。
デジタルコードレス電話機(迷惑電話対策機能付き)
古い電話機はIP回線で動作が不安定になることがあります。通話録音や着信拒否機能付きなら、特殊詐欺対策としても役立ちます。
小型UPS(無停電電源装置)
ルーターやONUに接続しておけば、瞬間的な停電や短時間の断電でも回線が落ちにくく、在宅ワーク中の通話断も防ぎやすくなります。
今からやっておきたい3つのこと
1. 契約内容を確認する
請求書やマイページで、今の固定電話が「加入電話」「ひかり電話」「ケーブルテレビの電話」のどれなのかを確認します。すでに光電話になっていれば、メタル回線の話は直接は関係しません。
2. 本当に必要かを見直す
用途が「たまにかかってくるだけ」なら、スマホへの転送や解約も選択肢です。逆に、仕事の連絡先として番号を公開している、金融機関や自治体の登録に使っている、家族の共有窓口になっている——といった場合は、番号を維持したまま光電話へ移すのが現実的です。
3. 停電時の連絡手段を決めておく
- スマホ用のモバイルバッテリーを常備する
- ルーターやONUを短時間動かせる電源を用意する
- 家族の集合場所と、連絡がつかないときの代替手段を共有する
固定電話の終わりは、単なる古い技術の引退ではなく「災害時に誰とどうつながるか」を考え直すきっかけでもあります。案内が届いてから慌てるより、今のうちに棚卸ししておくほうが確実です。
よくある質問
固定電話の番号は変わってしまいますか?
同じ住所内で光電話などへ移行する場合、多くのケースで番号をそのまま引き継げます。ただし提供事業者やエリア、移転の有無によって条件が異なるため、契約中の事業者に個別に確認してください。
停電したら固定電話は使えませんか?
光電話・IP電話は宅内機器が動作していることが前提のため、停電すると通話できなくなるのが一般的です。ポータブル電源や無停電電源装置で機器へ給電できれば、一定時間は利用できる場合があります。
FAXはこれからも使えますか?
IP網でも一般的なFAXは利用できますが、送信速度の設定や古い機種では通信が不安定になることがあります。重要な書類のやり取りに使っているなら、移行前後で実際に送受信テストをしておくのが安全です。
※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
参考: Verizon wants to kill landline phones in a matter of weeks(Mashable)の内容をもとに、日本の読者向けに独自に構成しています。
Photo by Athena Sandrini on Pexels